トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
第十七章 普通の恋人達
「ただいま」
富田がその日帰宅したのは、深夜0時を過ぎた後だった。
「お帰りなさい」
玄関で出迎えた紗季の頬にキスをして、富田は着替えにいく。
紗季は軽い食事をダイニングテーブルに並べた。
「ふう、疲れた」
富田はしばらく椅子に背を預けてから、紗季の手料理を食べ始めた。
「どうだった?事務所の方は」
「うん。特に問題ないよ。ジャンジャン取材やインタビューの依頼は来るけど、好意的なものばかりだった」
「そう、良かった」
紗季はホッとして笑顔になる。
舞台挨拶の後、映画を鑑賞した観客の鳴り止まない拍手に応えて、別室で取材を受けていた瞬達3人は再び登壇した。
「瞬くん!ありがとう」
「おめでとう!瞬くん」
感極まったように涙を浮かべながらも、立ち上がって口々に祝福してくれるファンに、瞬も笑顔で応えて何度も頭を下げた。
その日、映画を鑑賞した人達のSNSはお祝いムード一色。
「瞬くん、20代を私達に捧げてくれてありがとう!」
「サザンクロスのメンバーの反応を聞かれて照れ笑いした瞬くん、最高に可愛かった!あんな表情初めて!」
「10年間も匂わせなし、週刊誌にも撮られずに、一番にファンに報告してくれて…。もう充分だよ。今度は瞬くんが幸せになってね!」
温かいコメントは輪を広げるように続いていた。
そして午後の情報番組で流れた瞬のインタビュー映像では、
「貫いた10年愛」
「ファンに捧げた20代」
「これぞまさに純愛ストーリー!」
と見出しがつけられ、コメンテーターも瞬の対応を褒め称えていた。
「長かったわね、ここまで来るのに」
「ああ、そうだな」
「これからはゆっくり二人の時間を大切にして欲しいわ」
「うん。それでな、二人の新居なんだけど…」
富田は紗季に、瞬と明日香の新居として候補に上がっているマンションを説明する。
「今の瞬のマンションは手狭だし、既にマスコミに張り込まれてる。だから新しく、別の場所を探してたんだ。それで、うちの斜め向かいのマンションはどうかと思って」
「ええ?!うちの斜め向かいって、あの超高級マンション?それこそマスコミにすぐバレそうじゃない?」
「うん。瞬の住まいとしてはバレると思う。でも明日香ちゃんが入っていくのはバレない」
どういうこと?と、紗季は眉根を寄せる。
「あのマンションのオーナー、実はうちのマンションのオーナーでもあるんだ」
「そうなの?」
「ああ。本人はもちろんあっちに住んでるけど、実はうちのマンションの最上階にも部屋を持っている。2つのマンションは、地下駐車場で繋がってるんだ」
「はっ?駐車場が?でも繋がってたら、誰でもあっちに行けちゃうじゃない?」
「いや、車ではいけない。普段は鍵がかかってる通用口があるんだけど、そこを通るとこっそり行き来できるんだ。オーナーに話をしたら、特別に瞬と明日香ちゃんにも鍵を渡してもいいと言ってくれた」
「そうなのね!それなら、例えば明日香はうちのマンションの地下駐車場に車を停めて、通用口を通ってあっちのマンションの駐車場に行った後、エレベーターで部屋に行けるってことね?」
「そうだ。セキュリティもしっかりしてるし、一度地下駐車場に入ったら外からは見られない」
なるほど!と紗季は納得する。
「それならいいかも!それに、私達としても安心だわ。二人に何かあったら、いつでも駆けつけられるもの」
「ああ、そうだな。早速二人に話してみよう」
「うん!」
笑顔で頷くと、紗季は富田の首に腕を回して抱きつく。
「おっ、どうしたんだ?紗季」
「ふふふ。頼りになるなーと思って」
「誰が?」
「もちろん、あなたよ」
不意をつかれて富田は真っ赤になる。
「私達も幸せになりましょ!あの二人に負けないくらい」
「そうだな。俺も必ず紗季を幸せにするよ」
「ありがとう!私もよ」
二人は見つめ合って微笑んだ。
富田がその日帰宅したのは、深夜0時を過ぎた後だった。
「お帰りなさい」
玄関で出迎えた紗季の頬にキスをして、富田は着替えにいく。
紗季は軽い食事をダイニングテーブルに並べた。
「ふう、疲れた」
富田はしばらく椅子に背を預けてから、紗季の手料理を食べ始めた。
「どうだった?事務所の方は」
「うん。特に問題ないよ。ジャンジャン取材やインタビューの依頼は来るけど、好意的なものばかりだった」
「そう、良かった」
紗季はホッとして笑顔になる。
舞台挨拶の後、映画を鑑賞した観客の鳴り止まない拍手に応えて、別室で取材を受けていた瞬達3人は再び登壇した。
「瞬くん!ありがとう」
「おめでとう!瞬くん」
感極まったように涙を浮かべながらも、立ち上がって口々に祝福してくれるファンに、瞬も笑顔で応えて何度も頭を下げた。
その日、映画を鑑賞した人達のSNSはお祝いムード一色。
「瞬くん、20代を私達に捧げてくれてありがとう!」
「サザンクロスのメンバーの反応を聞かれて照れ笑いした瞬くん、最高に可愛かった!あんな表情初めて!」
「10年間も匂わせなし、週刊誌にも撮られずに、一番にファンに報告してくれて…。もう充分だよ。今度は瞬くんが幸せになってね!」
温かいコメントは輪を広げるように続いていた。
そして午後の情報番組で流れた瞬のインタビュー映像では、
「貫いた10年愛」
「ファンに捧げた20代」
「これぞまさに純愛ストーリー!」
と見出しがつけられ、コメンテーターも瞬の対応を褒め称えていた。
「長かったわね、ここまで来るのに」
「ああ、そうだな」
「これからはゆっくり二人の時間を大切にして欲しいわ」
「うん。それでな、二人の新居なんだけど…」
富田は紗季に、瞬と明日香の新居として候補に上がっているマンションを説明する。
「今の瞬のマンションは手狭だし、既にマスコミに張り込まれてる。だから新しく、別の場所を探してたんだ。それで、うちの斜め向かいのマンションはどうかと思って」
「ええ?!うちの斜め向かいって、あの超高級マンション?それこそマスコミにすぐバレそうじゃない?」
「うん。瞬の住まいとしてはバレると思う。でも明日香ちゃんが入っていくのはバレない」
どういうこと?と、紗季は眉根を寄せる。
「あのマンションのオーナー、実はうちのマンションのオーナーでもあるんだ」
「そうなの?」
「ああ。本人はもちろんあっちに住んでるけど、実はうちのマンションの最上階にも部屋を持っている。2つのマンションは、地下駐車場で繋がってるんだ」
「はっ?駐車場が?でも繋がってたら、誰でもあっちに行けちゃうじゃない?」
「いや、車ではいけない。普段は鍵がかかってる通用口があるんだけど、そこを通るとこっそり行き来できるんだ。オーナーに話をしたら、特別に瞬と明日香ちゃんにも鍵を渡してもいいと言ってくれた」
「そうなのね!それなら、例えば明日香はうちのマンションの地下駐車場に車を停めて、通用口を通ってあっちのマンションの駐車場に行った後、エレベーターで部屋に行けるってことね?」
「そうだ。セキュリティもしっかりしてるし、一度地下駐車場に入ったら外からは見られない」
なるほど!と紗季は納得する。
「それならいいかも!それに、私達としても安心だわ。二人に何かあったら、いつでも駆けつけられるもの」
「ああ、そうだな。早速二人に話してみよう」
「うん!」
笑顔で頷くと、紗季は富田の首に腕を回して抱きつく。
「おっ、どうしたんだ?紗季」
「ふふふ。頼りになるなーと思って」
「誰が?」
「もちろん、あなたよ」
不意をつかれて富田は真っ赤になる。
「私達も幸せになりましょ!あの二人に負けないくらい」
「そうだな。俺も必ず紗季を幸せにするよ」
「ありがとう!私もよ」
二人は見つめ合って微笑んだ。