トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「えっと、じゃあ一人ずつチェックさせてね。直哉くんから」

試作段階の衣装を着たサザンクロスの4人を、明日香は真剣な表情でチェックしていく。

瞬は順番を待つ間、さりげなく明日香の様子を見ていた。

髪をゆるく一つにまとめ、慣れた手つきで素早く直哉の全身を確認すると、机に広げたノートにサラサラと鉛筆を走らせる。

仕事に打ち込むその横顔は、キリッとした美しさとキラキラ輝く女性の魅力に溢れ、瞬は知らず知らずのうちに見とれてしまっていた。

(いつの間にこんなに綺麗な女性になったんだろう。出逢った頃は、まだあどけない高校生だったのに)

天真爛漫で無邪気で、没頭すると周りが見えなくなっていた明日香。
だが、仕事に対する熱意はあの頃も今も変わらない。

そしていつも自分の心の支えでいてくれることも。

『瞬くんは、ありのままでいいんだよ。瞬くんが抱えてる苦悩や今まで経験してきたこと、全てが今の瞬くんを作り上げてる。無駄なことなんて何もない。これからもね。全ての感情や経験が瞬くんの土台になって、それが他の誰にも真似出来ない瞬くんのポジションを確立してるの。そのままの瞬くんが唯一無二の存在なんだよ』

17歳の明日香がくれた言葉は、今も瞬の胸に刻み込まれている。
自信を失くしかけたり挫折しそうになった時、いつもこの言葉が気持ちを奮い立たせてくれた。

(俺はいつだって明日香に救われている)

いつか、必ず明日香を幸せにする。
その為に今を懸命に生きる。
明日香を守る強さを持つ為に。

この想いが揺らいだことはない。
直接言葉で伝えられないが、心から明日香が好きだ。

普通のカップルのように、手を繋いでデートは出来ない。
だがこうやって仕事の合間に顔を見られると、それだけで瞬は幸せな気持ちになっていた。
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