トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「あー、優斗くん。最近またお菓子食べ過ぎてる?」
「ギクッ!どうして分かるの?」
「衣装のサイズ、微妙に変わってるよ」
「ホント?体重はほとんど増えてないんだけどなあ。明日香ちゃん、恐るべし」
「ふふふ、私の目はごまかせませんよー」

明日香と楽しそうに笑い合う優斗に、瞬は少し嫉妬する。

(些細なことに気づいてもらえるのは、俺だけだと思ってたのに)

先週の歌番組。
リハーサルでいつものような声が出なかった。

朝起きた時に喉が渇いていて、そろそろ加湿器を出さないと、とは思ったが、体調はいつも通りだし会話も普通に出来ていた。

だが、いざリハーサルで歌ってみると喉が少し引っかかる。

愛用しているのど飴を買いに行きたかったが、あいにくリハーサルの後はすぐ本番で時間がない。

まあ、いいかと諦めて控え室で着替えていると、ふとジャケットの内側に何かが入っているのに気づいた。

取り出してみて、すぐに明日香だと確信した。

(あんなわずかな俺の違和感に気づくなんて…。しかも俺がいつも買ってるものを)

参ったとばかりにふっと笑みを洩らし、早速飴を一つ口に入れる。

これで安心して本番に臨めると、明日香に感謝した。

「のど飴サンキュ。さすが明日香」

靴を履いた後、さりげなく明日香の頭を抱き寄せて耳元でささやく。
ふわりと香る明日香の髪にそっと口づけ、胸一杯に幸せを感じながら…。

その後の本番は、最高に気持ち良く歌うことが出来た。
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