トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
第六章 支え合う心
次の日。

迎えに来た優子の車で3人が仕事に向かうのを見送ると、明日香は電車でサザンクロスの事務所に向かう。

今日は前回途中になったままの新曲の振り写しがあり、陽子と現地集合でデザインの相談をすることになっていた。

電車の車内では、中吊り広告を見ながら若い女の子達が会話している。

「ねえ、見た?朝の情報番組」
「見た見たー!この優斗とあみの写真、歌番組のリハーサルなんだってね。週刊誌って、当てにならないね」

それを聞いて、富田の思惑通りに事が運んでいることに明日香は安心した。

少し早めに到着すると、サザンクロスの4人が楽しそうにレッスンルームでウォーミングアップをしていた。

「おはようございます」

挨拶すると、直哉がヘラヘラと笑いながら振り返る。

「あ、おっはよー!明日香にゃん」
「…にゃん?」

思わず眉間にしわを寄せてしまう。

「ごめん、明日香ちゃん。直哉、夕べ飲みすぎてさ」

充希がそう言うと、優斗もニコニコと話に加わる。

「そうなんだよー。直哉ってば恋バナ始めちゃってさ。枕を相手に真顔で告白してるの。君が好きだ!って言ってガバッて抱きついてね。もうおっかしくて!」
「そ、そうなんだね」
「明日香ちゃん達は?恋バナで盛り上がった?」
「えーっと、ご想像にお任せします」

なんだよー、教えてよーと食い下がる優斗に愛想笑いでとぼけていると、ふと誰かの視線を感じて振り返る。

瞬が慌てたようにうつむくのが目に入った。

(ん?瞬くん、こっちを見てたのかな?)

そして明日香は、映画の仕事のことを思い出した。

(あとで瞬くんにも確認しておこう。本当に私が携わってもいいのかどうか。大事な瞬くんの初主演映画に泥を塗る訳にはいかないもの)

レッスンの後、時間があれば声をかけてみようと思いながら、明日香はスケッチブックや筆記用具の準備を始めた。
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