トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「わあー、いいね!健悟くん」

明日香が用意した子ども服は、瞬と並んでも合うように、長袖の上に半袖を重ね着した少しオシャレなものだった。

「どれどれ。サイズもピッタリだね。どう?健悟くん。鏡見てみた?」

黙って首を振る健悟を、明日香は大きな鏡の前に連れて行く。

「見て。カッコイイでしょ?」

健悟はじっと鏡の中の自分を見ている。
その時、着替えを終えた瞬が部屋に戻ってきた。

「健悟くん、ほら!瞬くんのお洋服とも合っててステキでしょ?」

すると健悟は、目をまん丸にして瞬に見とれている。

「健悟くん。瞬くんのことよく知ってるの?」

コクンと健悟が頷く。

「そうなんだ!じゃあ瞬くんの好きな色、知ってる?」
「あお!」

急に大きな声で答える健悟に、明日香は笑い出す。

「おおー、元気だね。それによく知ってたね、青って」
「うん。ママがおしえてくれたの。サザンクロスの色、ぜんぶいえるよ」
「そうなの?じゃあ、直哉くんの色は分かる?」
「なおやくんはきいろ!あつきくんはみどり!しゅんくんはあおで、ゆうとはあか!」
「すごーい!大正解!でも、優斗くんだけどうして呼び捨てなの?」
「ママがゆうとっていうから」
「そ、そうなんだね。あはは」

苦笑いする明日香に、すみません、と母親が小声で謝る。

「いえいえそんな。私に謝ることないですよ。じゃあ健悟くんは何色が好きなのかな?」
「えっとね、くろ!」
「おおっ、黒かー!カッコイイね。じゃあ、サザンクロスの中で一番誰が好きなの?」

そう聞くと、健悟は明日香に近づいてきて耳元で内緒話をする。

「あのね、しゅんくんがいちばんすきなの」
「そうなんだ」

明日香も小声で微笑みかけた。

「あすかは?だれがいちばんすきなの?」
「私?えっとね…。健悟くんと同じで瞬くん」
「そうなの?」
「うん。でもこれは内緒だよ?」
「うん。ないしょね」

二人でコソコソとささやいて微笑み合う。

「あの、すみません。生意気な口をきいて…。仕事では敬語を使うように教えてるんですけど、なかなか」

申し訳なさそうに言う母親に、明日香は首を振る。

「いいえ。健悟くん、とっても素直で可愛いです。これからも仲良くしてね、健悟くん」
「うん!」
「ふふ、ありがとう。じゃあ瞬くん達と衣装合わせするから、健悟くんも一緒に行こう」

明日香は健悟と手を繋いで、瞬や沙奈が待つ部屋の中央に向かった。
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