トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
次の日はスタジオのセットでの撮影だった。
公園から帰ってきた自宅での親子3人のシーン。
まずは、夕食の片付けを終えた沙奈がリビングに行くと、絵本を読み聞かせていた瞬が健悟と一緒に眠ってしまったシーンから。
「あなた、そろそろ大樹をお風呂に…」
エプロンで手を拭きながら近づいた沙奈は、クスッと笑って瞬の肩を優しく揺する。
「あなた、ほら、起きて」
…ん、と身じろぎして瞬がぼんやりと目を開ける。
「こんなところで寝てると風邪を引くわよ?」
「あ…、ごめん。いつの間に?」
「ふふ。大樹と一緒にね」
「そっか」
そして二人で健悟の顔を覗き込む。
「幸せそうな顔して寝てるな」
「ええ。久しぶりにパパと遊べて楽しかったのよ。もうぐっすりね。ベッドに運んでくれる?」
「分かった」
瞬は健悟の頭をなでてから、そっと抱き上げた。
「カットー!」
一旦カメラが止まり、明日香は監督達の後ろからモニターチェックの様子を見守る。
公園のシーンの服装と違い、瞬は例のネイビーのトップス、沙奈も白いフレアスカートに薄いピンクのサマーニット、そして花柄のエプロン姿だった。
「おー、いいな!このうたた寝してる瞬。胸元がチラッと見えて色気あるのに、無防備に寝ちゃってて。ひゃー、このギャップ!ヤバイな」
監督の声に、明日香も心の中でうんうんと頷く。
(ホントですよー。もう鼻血が…いつ出てもおかしくありません!)
「よし、この調子で次行ってみよー!」
(ひゃー、行っちゃいますかー?)
明日香が頬を両手で押さえながら密かに盛り上がっていると、明菜が声をかけに来た。
「ごめん、明日香ちゃん。ちょっといい?」
「うん。なあに?」
「柏木さんのヘアメイク、立ち会ってくれない?」
「へ?どうして私が?」
「昨日の話、確認させてもらいたいの。ほら、早く」
「う、うん」
明菜に手を引かれて、明日香はドレッサーの前に座った瞬のところへ行く。
「柏木さん、少し髪型変えさせてくださいね」
そう言って明菜は、瞬の髪を手ぐしで整えながらヘアスプレーで固めていく。
「前髪、右側はこれくらいのボリュームでいいかな?」
明菜に聞かれて、明日香は瞬と鏡を交互に見比べる。
「うん、そうだね。それで少し空気を含ませてみて」
「分かった。左側は?」
「んー、右からの流れを作って、ボリュームは少し重めに。うつむくと、ちょっとだけ目元が隠れる感じかな?」
「なるほど」
「あ、でも待って。カメラアングルどうなんだろう?どっちサイドから撮るのか確認してくるね」
そう言うと明日香は、藤堂監督のもとへ行く。
「監督、すみません。お聞きしてもよろしいですか?」
「んー、なに?明日香ちゃん」
「次のシーンのカメラアングルですが、柏木さんの横顔は右から撮りますか?それとも左側からでしょうか?」
「あー、なるほど。明日香ちゃんのオススメは?」
「は?オススメ?!」
「そう。次は、瞬のカッコよさが溢れるイチオシのシーンだからさ。世の女性達がキュンとくるように撮りたいんだ。明日香ちゃんならどっち側の瞬を見たい?」
「ええー?!そんな…。私、撮影のことなんてド素人ですよ?」
「でも瞬のスタイリングはプロでしょ?」
そう言って藤堂監督は、ニヤリと笑ってみせる。
「は、はあ。では…。えーっと、最初にうつむき加減の柏木さんが真剣に話をする時は左側から、最後に奥様に優しく微笑んでみせる時は右側からがよろしいかと」
「なーるへそ。じゃあ、それで」
「え、本当に?!」
「もちろん。さ、始めるぞー!」
戸惑う明日香をよそに、監督は皆に声をかけてポジションに着かせた。
公園から帰ってきた自宅での親子3人のシーン。
まずは、夕食の片付けを終えた沙奈がリビングに行くと、絵本を読み聞かせていた瞬が健悟と一緒に眠ってしまったシーンから。
「あなた、そろそろ大樹をお風呂に…」
エプロンで手を拭きながら近づいた沙奈は、クスッと笑って瞬の肩を優しく揺する。
「あなた、ほら、起きて」
…ん、と身じろぎして瞬がぼんやりと目を開ける。
「こんなところで寝てると風邪を引くわよ?」
「あ…、ごめん。いつの間に?」
「ふふ。大樹と一緒にね」
「そっか」
そして二人で健悟の顔を覗き込む。
「幸せそうな顔して寝てるな」
「ええ。久しぶりにパパと遊べて楽しかったのよ。もうぐっすりね。ベッドに運んでくれる?」
「分かった」
瞬は健悟の頭をなでてから、そっと抱き上げた。
「カットー!」
一旦カメラが止まり、明日香は監督達の後ろからモニターチェックの様子を見守る。
公園のシーンの服装と違い、瞬は例のネイビーのトップス、沙奈も白いフレアスカートに薄いピンクのサマーニット、そして花柄のエプロン姿だった。
「おー、いいな!このうたた寝してる瞬。胸元がチラッと見えて色気あるのに、無防備に寝ちゃってて。ひゃー、このギャップ!ヤバイな」
監督の声に、明日香も心の中でうんうんと頷く。
(ホントですよー。もう鼻血が…いつ出てもおかしくありません!)
「よし、この調子で次行ってみよー!」
(ひゃー、行っちゃいますかー?)
明日香が頬を両手で押さえながら密かに盛り上がっていると、明菜が声をかけに来た。
「ごめん、明日香ちゃん。ちょっといい?」
「うん。なあに?」
「柏木さんのヘアメイク、立ち会ってくれない?」
「へ?どうして私が?」
「昨日の話、確認させてもらいたいの。ほら、早く」
「う、うん」
明菜に手を引かれて、明日香はドレッサーの前に座った瞬のところへ行く。
「柏木さん、少し髪型変えさせてくださいね」
そう言って明菜は、瞬の髪を手ぐしで整えながらヘアスプレーで固めていく。
「前髪、右側はこれくらいのボリュームでいいかな?」
明菜に聞かれて、明日香は瞬と鏡を交互に見比べる。
「うん、そうだね。それで少し空気を含ませてみて」
「分かった。左側は?」
「んー、右からの流れを作って、ボリュームは少し重めに。うつむくと、ちょっとだけ目元が隠れる感じかな?」
「なるほど」
「あ、でも待って。カメラアングルどうなんだろう?どっちサイドから撮るのか確認してくるね」
そう言うと明日香は、藤堂監督のもとへ行く。
「監督、すみません。お聞きしてもよろしいですか?」
「んー、なに?明日香ちゃん」
「次のシーンのカメラアングルですが、柏木さんの横顔は右から撮りますか?それとも左側からでしょうか?」
「あー、なるほど。明日香ちゃんのオススメは?」
「は?オススメ?!」
「そう。次は、瞬のカッコよさが溢れるイチオシのシーンだからさ。世の女性達がキュンとくるように撮りたいんだ。明日香ちゃんならどっち側の瞬を見たい?」
「ええー?!そんな…。私、撮影のことなんてド素人ですよ?」
「でも瞬のスタイリングはプロでしょ?」
そう言って藤堂監督は、ニヤリと笑ってみせる。
「は、はあ。では…。えーっと、最初にうつむき加減の柏木さんが真剣に話をする時は左側から、最後に奥様に優しく微笑んでみせる時は右側からがよろしいかと」
「なーるへそ。じゃあ、それで」
「え、本当に?!」
「もちろん。さ、始めるぞー!」
戸惑う明日香をよそに、監督は皆に声をかけてポジションに着かせた。