トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「よーい、スタート!」

健悟を寝かせたあと、夫婦二人のソファでのシーン。

「どうぞ」
「ありがとう!」

瞬はテーブルにコーヒーを置くと、沙奈の隣に座る。

「悪いな。いつも仕事ばかりで、大樹のことも任せっきりで」
「ううん。私も大樹も、ちっともそんなこと思ってない。あなたが帰ってきてくれれば、それだけで私達は嬉しいもの」
「ありがとう、(かえで)
「ふふ、こちらこそ」

コーヒーを飲みながら、静かに微笑み合う二人。

「来週の大樹の入園式には必ず行くから」
「無理しなくていいのよ」
「大丈夫。ちゃんと休みも申請してある。大樹の幼稚園の制服姿、楽しみだな」
「ええ。だけど、もし呼び出しがあったら気にせずに向かってね。その時は、あなたの分まで私がしっかり大樹の勇姿を見届けるから」
「楓…」
「警察官の妻だもの。いつだってそれくらいの覚悟は出来てるわよ?」
「ありがとう、楓」

そう言うと、瞬は切なげに視線を落とす。

「俺が君を幸せにすると誓ったのに、俺は君に幸せにしてもらってばかりだな。大樹を守ってくれているのも君だ。俺は本当に大切な家族をちゃんと守れているんだろうか…。仕事ばかりで、一番幸せにしなくてはいけない存在を遠ざけていないだろうか」
「あなた…」

沙奈はコーヒーカップをテーブルに置くと、正面から瞬を見つめる。

「一緒にいる時間が短くても、いつも私達はあなたの愛情を感じているわ。離れていても、いつだってあなたの存在をすぐ近くに感じているの。それに大樹は、あなたの背中を見て大きくなってる。あなたを追いかけて、きっと勇気ある優しい子に育ってくれるわ」
「楓…、君って人は」

瞬は目を潤ませて言葉に詰まる。

「私も大樹も、あなたが大好きよ」
「俺もだ。心から君達を愛してる」

そう言って優しく微笑むと、そっと沙奈の頭を抱き寄せ、瞬はゆっくりと唇を寄せていく。

少し顔を傾けた瞬と沙奈の後ろ姿が重なった。
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