トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜

「どうした？二人とも。もっと飲みなよ」
「いや、はい。あの、衝撃が強すぎて…」

藤堂監督にビールを注がれ、二人は恐縮しつつも戸惑いを隠せない。

「ははは！あいつ、余計なことペラペラしゃべりやがったからな。いつもは俺と他人のフリするのに、珍しい」
「そうなんですか？」
「ああ。なんでまたお前達にはバラしたんだろうな」

そう言いつつ、監督はその理由が分かっているような口ぶりだった。

「とにかく、いつもは口が堅いんだ。だから安心して二人で来るといい」

え？と、明日香と瞬は首を傾げる。

「おいおい、俺を誰だと思ってる？心理描写を撮らせたらピカイチ！ヒューマンドラマの巨匠！イケオジ監督、目利きの藤堂だぞ？」
「…は？あの、パワーワードが多すぎて、頭に入ってこないんですけど」
「ぶはは！そうか？ま、お前達二人の話はまた今度な。今日は二人に礼を言いたかったんだ」

そう言うと、監督はグラスを置いて改めて二人に向き直る。

「瞬、明日香ちゃん。いつもありがとう。この映画はお前達二人に支えられている」
「え？監督、突然何を…」
「撮影はお前達を軸にして進んでる。俺はいつも二人に助けてもらってるんだ」
「いえ、あの。柏木さんは分かりますが、どうして私もなんですか？」
「そりゃ、俺は目利きの藤堂だからな。明日香ちゃんが、どんなに演者達の雰囲気を良くしてくれているか、気づいてないとでも？健悟や沙奈が過酷な撮影に臨めているのも、明日香ちゃんのおかげだ」
「そんなことは…」

実感が湧かない明日香は、返す言葉に詰まる。

「明日香ちゃんを現場に呼んで本当に良かった。それに瞬。お前も随分成長したな。この映画の撮影中は俺の片腕だ。いい男になった」
「監督…」

思いもよらなかった言葉に、瞬も胸を詰まらせる。

「表の瞬と裏方の明日香ちゃん。二人はこの作品の要だ。撮影もあと少し。頼りにしてるからな。最後までやり抜いて、必ずいい作品にしよう」
「はい！」

力強い監督の言葉に、二人は大きく頷いた。