トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
そうこうしているうちに開始時間になり、皆はそれぞれ席に着いた。
「やあやあ諸君。元気にしてたか?俺に会えなくて寂しかっただろ?」
早速マイクを握っていつもの調子でしゃべり始めた藤堂監督に、皆は苦笑いする。
「えー、みんなは『終わったー!』と浮かれていたと思うが、俺は『まだだったー』とガックリ肩を落として、編集作業を頑張っておりました」
うんうん、と編集チームのメンバーが神妙な面持ちで頷く。
「ホントですよ。皆さんの演技が素晴らしすぎて、どこをカットしていいやら、どのカメラアングルを採用していいやら、もう嬉しい悲鳴でヒーヒーです」
「バカ野郎。そんなのどこもカットせずに全部マルチアングルで繋げとけ!」
「そんな無茶な…」
監督とのやり取りに、皆も同情しつつ思わず笑ってしまう。
「我々広報チームも大変ですよ。キャッチコピーの候補がありすぎて、一つに絞り切れなくて」
「バカ野郎。そんなの『全米が泣いた!』ってしとけ」
「そんな無茶な…」
また笑い声が上がる。
「でもさ。全米はまだ泣いてないけど、全明日香は泣いたよね」
「何ですか?全明日香って」
陽子にささやかれ、明日香は苦笑いする。
「えー、とにかくまだまだ奮闘中ですが、今夜の為にダイジェスト版を作ってきました。どうぞご覧ください!」
そう言って編集チームがスクリーンに映像を映し出した。
サザンクロスの「Truth」に乗せて、様々なシーンが流れていく。
親子3人で桜を見ながらお弁当を食べ、楽しそうに遊ぶシーン。
幼稚園の入園式で、仕事に向かう瞬を明るく送り出す沙奈。
会議室で真剣に耳を傾ける瞬の横顔と、飛び込んできた映像に驚愕する一同。
誘拐現場に踏み込み、犯人と対峙して…。
「楓!!」
響き渡る悲痛な瞬の声。
たたみかけるように次々と緊迫したシーンが流れる。
警視総監に胸倉を掴まれ吐き捨てられる瞬。
アルバムから滑り落ちた手紙を拾って目を通し…。
会議室に飛び込んで、新たな情報をもとに推理していく瞬の真剣な眼差し。
やがて辿り着いたあの場所で、瞬が誰かの額に銃を突きつけるシーンがゆっくりと浮かび上がった。
「真実の光」
最後に映画のタイトルが無音で現れ、消えていく。
皆は、ほうっと声にならないため息をもらした後、一斉に拍手した。
「凄い、こんな映画に仕上がっていたなんて。これは明日香が泣く訳だわ。って、やっぱり今もね」
「うううっ、もう、これだけで私、胸が締めつけられて、うぐ、ひっく」
陽子が呆れるが、明日香の涙は止まらない。
「ねえ、明日香。脱水症状大丈夫?ほら、お水飲んで」
「はい。うう、ひっく」
こぼしそうになりながら水を飲んでいると、監督が感慨深げに話し出した。
「改めて、みんな本当にありがとう。まさかここまでの映画になるとは、俺も予想していなかった。みんなが魂を込めて作り上げてくれたこの作品は、観てくれる人達の心に何かを訴えかける、説得力のある映画になったと思う。みんなのバトンを受け継いで、編集作業も必ずやり遂げてみせる」
真剣な監督の表情に、皆もじっと耳を傾ける。
「そして完成披露試写会の日程が決まった。9月25日だ。正式な映画の公開は10月10日。みんな、PR活動も頼むな。それと、俺へのリップサービスも忘れないでくれ。いいか?藤堂監督は、心理描写を撮らせたらピカイチ!ヒューマンドラマの巨匠、イケオジで…」
「監督ー、それ、もうマスコミも聞き飽きてますよ」
誰かが茶々を入れ、一斉に笑いが起こった。
「バカ野郎、何度でも言わせとけ!とにかくまだまだこのチームは続く。みんなで旋風を巻き起こそう。ひとまず今夜は大いに盛り上がってくれ。では、映画のクランクアップを祝し、映画の成功を祈願して。乾杯!」
「乾杯!!」
明るい皆の声が上がり、あとはひたすら美味しい料理とおしゃべりを楽しんだ。
「やあやあ諸君。元気にしてたか?俺に会えなくて寂しかっただろ?」
早速マイクを握っていつもの調子でしゃべり始めた藤堂監督に、皆は苦笑いする。
「えー、みんなは『終わったー!』と浮かれていたと思うが、俺は『まだだったー』とガックリ肩を落として、編集作業を頑張っておりました」
うんうん、と編集チームのメンバーが神妙な面持ちで頷く。
「ホントですよ。皆さんの演技が素晴らしすぎて、どこをカットしていいやら、どのカメラアングルを採用していいやら、もう嬉しい悲鳴でヒーヒーです」
「バカ野郎。そんなのどこもカットせずに全部マルチアングルで繋げとけ!」
「そんな無茶な…」
監督とのやり取りに、皆も同情しつつ思わず笑ってしまう。
「我々広報チームも大変ですよ。キャッチコピーの候補がありすぎて、一つに絞り切れなくて」
「バカ野郎。そんなの『全米が泣いた!』ってしとけ」
「そんな無茶な…」
また笑い声が上がる。
「でもさ。全米はまだ泣いてないけど、全明日香は泣いたよね」
「何ですか?全明日香って」
陽子にささやかれ、明日香は苦笑いする。
「えー、とにかくまだまだ奮闘中ですが、今夜の為にダイジェスト版を作ってきました。どうぞご覧ください!」
そう言って編集チームがスクリーンに映像を映し出した。
サザンクロスの「Truth」に乗せて、様々なシーンが流れていく。
親子3人で桜を見ながらお弁当を食べ、楽しそうに遊ぶシーン。
幼稚園の入園式で、仕事に向かう瞬を明るく送り出す沙奈。
会議室で真剣に耳を傾ける瞬の横顔と、飛び込んできた映像に驚愕する一同。
誘拐現場に踏み込み、犯人と対峙して…。
「楓!!」
響き渡る悲痛な瞬の声。
たたみかけるように次々と緊迫したシーンが流れる。
警視総監に胸倉を掴まれ吐き捨てられる瞬。
アルバムから滑り落ちた手紙を拾って目を通し…。
会議室に飛び込んで、新たな情報をもとに推理していく瞬の真剣な眼差し。
やがて辿り着いたあの場所で、瞬が誰かの額に銃を突きつけるシーンがゆっくりと浮かび上がった。
「真実の光」
最後に映画のタイトルが無音で現れ、消えていく。
皆は、ほうっと声にならないため息をもらした後、一斉に拍手した。
「凄い、こんな映画に仕上がっていたなんて。これは明日香が泣く訳だわ。って、やっぱり今もね」
「うううっ、もう、これだけで私、胸が締めつけられて、うぐ、ひっく」
陽子が呆れるが、明日香の涙は止まらない。
「ねえ、明日香。脱水症状大丈夫?ほら、お水飲んで」
「はい。うう、ひっく」
こぼしそうになりながら水を飲んでいると、監督が感慨深げに話し出した。
「改めて、みんな本当にありがとう。まさかここまでの映画になるとは、俺も予想していなかった。みんなが魂を込めて作り上げてくれたこの作品は、観てくれる人達の心に何かを訴えかける、説得力のある映画になったと思う。みんなのバトンを受け継いで、編集作業も必ずやり遂げてみせる」
真剣な監督の表情に、皆もじっと耳を傾ける。
「そして完成披露試写会の日程が決まった。9月25日だ。正式な映画の公開は10月10日。みんな、PR活動も頼むな。それと、俺へのリップサービスも忘れないでくれ。いいか?藤堂監督は、心理描写を撮らせたらピカイチ!ヒューマンドラマの巨匠、イケオジで…」
「監督ー、それ、もうマスコミも聞き飽きてますよ」
誰かが茶々を入れ、一斉に笑いが起こった。
「バカ野郎、何度でも言わせとけ!とにかくまだまだこのチームは続く。みんなで旋風を巻き起こそう。ひとまず今夜は大いに盛り上がってくれ。では、映画のクランクアップを祝し、映画の成功を祈願して。乾杯!」
「乾杯!!」
明るい皆の声が上がり、あとはひたすら美味しい料理とおしゃべりを楽しんだ。