トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
やがてコットンキャンディの曲が終わり、カメラはサザンクロスを捉える。

ダークブルーの照明の中、うつむいた4人が浮かび上がり、ドラマチックなメロディが流れ始めた。

スッと瞬が右手を挙げて、ほのかに光る球体を掲げる。

アップテンポなナンバーにスピーディーな4人のフォーメーション。

激しい振り付けのダンスをカッコよく決めるメンバーに、明日香は言葉も忘れて引き込まれていく。

光を掴もうと瞬が手を伸ばすが、スルリとかわされて掴み切れない。

見え隠れしながら、光は瞬を翻弄する。

最後に3人の手によって放たれた光を、ようやく瞬がキャッチして曲は終わった。

「ステキ!いいわー、この曲」

陽子が惜しみない拍手を送り、明日香も頷く。

「ホントでずよね、グズ。何度見でも、ううっ、感動が蘇っでぎで…」

もはや明日香が号泣するのに慣れた陽子は、突っ込みもせずにスルーする。

「瞬もいい男になったわねー。背中で語れる立派な役者って感じ」
「ううっ。ぞうなんでず、じゅんぐん。ガッゴよぐで…うううっ」
「明日香、いい加減その訛ったしゃべり方どうにかして。象なんです、じゅんくんって…。何言っちゃってんのよ、もう」
「なまっでないでず、グスン」
「はいはい。ほら、ティッシュ」

陽子から受け取ったティッシュで、明日香は涙を拭う。

「明日香、映画の試写会には箱ティッシュ持って行きなさいよ?」

真顔でそう言う陽子に、明日香も納得して頷いた。
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