トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
「えー、では続きまして、フォトセッションと簡単なインタビューの時間とさせて頂きます」

司会者の言葉を合図に、前方のカメラマン達が一斉にカメラを構えた。

「目線お願いしまーす!」

3人は肩を並べて笑顔で応える。

ひと通り撮り終わると、芸能レポーターの質問が飛んできた。

「柏木さん!今回初めて妻がいる夫を演じてみていかかですか?ファンの人に、『そんな柏木さんは見たくない』と言われるとは思いませんでしたか?」

藤堂監督が思わず眉根を寄せて口を開こうとした時、瞬が落ち着いた様子でマイクを構えた。

「そうは思いませんでしたし、逆にファンの方にこう思って欲しいとも思いません。自分はサザンクロスの一員として、たくさんのファンの方々に支えられています。その期待に応えようと、日々仕事に打ち込んでいます。今回の映画はサザンクロスとしてではなく、柏木 瞬としてお引き受けしました。いつもと変わらず、ただ真摯に懸命に撮影に臨みました。皆様がこの映画をご覧になった時、サザンクロスの柏木 瞬の夫役は見たくなかったと感じられたなら、それは自分の力不足によるものです」

監督が驚いたように瞬の横顔を見つめる。
瞬はただ静かに微笑んでいた。
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