世界が滅びる時。私はあなたといたい、と願った
日常が変わる時

Day 12.01

「ジリリリリ!」

目覚ましの音で目を覚ます。
あと五分だけ、、、最近寒すぎて布団から出られない。
意を決して布団からでてカーテンを開けると空は澄み渡り、太陽が光り輝いていた。

「おはよう〜」

お母さん、妹と挨拶を交わして朝食の席に着く。
今日の朝ごはんはトーストとスクランブルエッグとコーンスープ。
寒い朝に温かいスープはとても嬉しい。

朝の支度をして

「行ってきます!」

いつも通りに家を出た。
私は家から自転車で10分の高校に通っている。
自転車はせっかくセットした髪が崩れるのが難点だけど、寝ることが大好きな私には短い時間で高校に行ける方が大事だ。

「空!おはよっ!」

教室に入ると何かザワザワしていた。何があったのだろう?そんな私に親友の彩が声をかけてくれる。
天はめちゃくちゃ可愛い。しかも優しい。なんで私と仲良くしてくれてるのか分からない。

「天おはよう〜、なんでこんなザワついてるの?」

「これだよ、知ってる?」

天が見せてくれたスマホには今話題の予言師の動画が流れていた。

『 あと1ヶ月後、年を越すとき地球が滅びます』

「え!?」

思わず声が出てしまった。この予言師は過去に感染症の流行や自然災害をほぼ完璧に言い当てていてそれで有名になり、今若い人を中心に知名度がかなり高く、信頼もされている人だ。

「いきなり言われても実感わかないよね、あと1ヶ月しかないなんて。」


私は呆然としていた。だって、普通だから。教室の風景も流れる空気も全てが。受け入れられない、けどきっとこれは起こるのだろう。誰もがそれを感じ取っていた。



気づけばお昼休みになっていた。私はいつも天とさらにクラスの子何人かと一緒に食べている。
今日のお弁当のメインはカツ。私は味噌派なので味噌をかけて食べる。何があってもご飯は美味しい。

「も〜ほんとにびっくり。」

いつもは今話題のアイドルだとか勉強だとか何気ないことを喋っているがさすがに今日は例の予言の話で持ちきりだ。

「え、信じてる?どう?」

結構みんな半信半疑って感じだ。そもそも何が原因で滅ぶのかすら分からない。そうなるのも当たり前だと思う。




それから1日は瞬く間にすぎた。
いつも通りの授業。当たり前の日常。
それが1ヶ月後には無いという事実。
混乱したまま、気づけば1日がすぎていた。
SNSの意見も完全に2つだった。
起こる派となぜ根拠もないのに信じるのかという派。
もちろん混乱は広がっているがとりあえず後悔しないように生きようとする人が多い印象だ。
プロポーズするとか、オーロラを見るとか。
そういう何かしらの目標や夢がある人はいいなと思う。それが叶えれれば心残りがあろうと少しは満足して終わりを迎えられそうだから。

夢もない。目標もない。そんな私は満足して最期を迎えるそのためには何をすればいいのだろう。そんな疑問を抱いたまま眠りについた。

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