頑張って嫌いになります。
「今の誰」
「……えっ?」
振り向くと、先程よりも低い声の晃が居た。
「誰って……別に、中条くんには関係ないよ」
つまらないものを見るような目。
好きでもないなら話しかけてこないでよ。
「ねぇ、なんで俺のこと『中条くん』て呼ぶの。普通に、下の名前で呼べよ。つか、誰あの男。関係ないってなに」
「いや、元彼と距離を置きたいのは普通だし、もう関係ない……っていうか、私たち付き合ってなかったんだっけ……えへへ」
また、下を向きながら話している。怖いから。
「……何いってんの。日菜、顔上げて?」
さっきより少し優しくなった声。やめてよ。また好きになる。止められなくなるじゃないか。
「なにか……私に言いたいことでもあるのかな?中条くんはなにが不満なの?さっきの人は、私の部活の先輩で、暁人先輩。もういい?」