頑張って嫌いになります。

ひと目でわかる。彼女は晃が好き。



そして、きっとその隣にいる人も……。



この有り得ぬ修羅場を、客観的に見てる私。



「え、なんで?今日、部活とかなんかないの?」



あ、そうか。私が今日誘わなかったから杏珠ちゃんと帰ったんだね。


私が誘うことをいつも残念がってたんだね。


「あー、杏珠と帰れなかった。コイツのせいで」って。


焦っているのは私が学校に広めるのを恐れているからかな。



大丈夫だよ。みんな私より杏珠ちゃんの方がお似合いって言って、誰も晃を責めたりなんてしないよ。



「安心して?もう、晃には近付かないし、付き纏ったりしない」



「……え」



「ごめんね、気付かなくて。私ったら、晃がやっと彼氏になってくれたとか思ってた。てか、なんなら、私の事好きだとか、思っちゃてた」


えへへ、と無理して笑った。


醜くないように。


惨めになってないか、不安でたまらない。



「でも、どうせなら言って欲しかったよ。好きな人いるって。彼女いるって」
< 5 / 23 >

この作品をシェア

pagetop