頑張って嫌いになります。
ひと目でわかる。彼女は晃が好き。
そして、きっとその隣にいる人も……。
この有り得ぬ修羅場を、客観的に見てる私。
「え、なんで?今日、部活とかなんかないの?」
あ、そうか。私が今日誘わなかったから杏珠ちゃんと帰ったんだね。
私が誘うことをいつも残念がってたんだね。
「あー、杏珠と帰れなかった。コイツのせいで」って。
焦っているのは私が学校に広めるのを恐れているからかな。
大丈夫だよ。みんな私より杏珠ちゃんの方がお似合いって言って、誰も晃を責めたりなんてしないよ。
「安心して?もう、晃には近付かないし、付き纏ったりしない」
「……え」
「ごめんね、気付かなくて。私ったら、晃がやっと彼氏になってくれたとか思ってた。てか、なんなら、私の事好きだとか、思っちゃてた」
えへへ、と無理して笑った。
醜くないように。
惨めになってないか、不安でたまらない。
「でも、どうせなら言って欲しかったよ。好きな人いるって。彼女いるって」