結婚前夜に殺されて人生8回目、今世は王太子の執着溺愛ルートに入りました!?~没落回避したいドン底令嬢が最愛妃になるまで~
「無駄話は終わりにして、ここから本題。ノア、フリーダ嬢は厄介だぞ」
「フリーダ……?」
頭痛に眉をひそめながら、俺はなんとか返事をする。
「彼女、相当ノアに惚れこんでいただろう。国王様と親睦のある父親に頼んで、どうにかノアと結婚しようとしたりさ」
「ああ、そんな話もあったな」
父上に一時期、フリーダとの結婚を執拗に勧められたことがある。彼女の実家、トイフェル侯爵家は多くの鉱物資源を持っており、それらは加工や取引に使われ国にとっても重要な資源。そんなトイフェル侯爵家とこれからも友好的な関係を築くため、父上は結婚の申し出を受けたかったに違いない。
俺は断固として拒否したが、二十歳までに結婚を決めなければ強制的に結婚させると言われていた。だから俺はそれまでに、必ずエルザと……と思っていた。
「彼女、どうせノアはベティーナと別れないと思っていたから、二十歳になるのを余裕で待っていたんだよ。ノアが侍女を好きな限り、ほかの女と結婚するはずがないって。その予定が狂った挙句、相手は格下に見ていたエルザ。彼女の高すぎるプライドが黙ってないだろうね」
「なるほどな。トイフェル侯爵家の動きには気を付けておこう」
話がひと段落したところで、ベティーナとアルベルトはそれぞれ俺の部屋から出て行った。
……さすがに俺も疲れたな。
灯りを消した部屋でひとりでベッドに横たわりぼーっとする。疲労感に身体を蝕まれながらも、今日のエルザのドレスアップ姿を思い出すと自然と口角が上がった。まさに俺色に染められているかのようだった。最後は嫉妬心まで露にして……ああ、可愛い。今すぐエルザの部屋に行って、華奢な身体を抱きしめて一緒に眠りにつきたい。
「……はあ……エルザ、好きだ……」
誰もいない部屋でひとり愛の告白をしてしまうほど、俺の脳内は君に侵されている。正式に結婚して、夫婦になってからも、俺はエルザへの想いが募るばかりだ。俺は死ぬ瞬間まで君に恋い焦がれ、死んでもなお、君を想い続けるだろう。
こんなだから、アルベルトやベティーナに俺の愛は重いとからかわれるのもわかっている。だが、俺にとってはこれが普通なのだ。
『ノア様を好きになるのは、怖いです』
その時、エルザが不安げな表情で俺にそう言ったのを思い出した。
人の本心を知る方法はどこにもない。よって、エルザが抱く怖いの意味を、俺は知ることができないが――もし、俺のこういった愛の重みがエルザになにか恐怖を植え付けているのなら。そう思うと、胸が痛む。だけど俺は、君への想いを制御する方法がわからない。
『私がノア様以外の人と結婚したら……ノア様は、私を殺しますか?』
――あの時エルザにした返事は本心だ。否、本心のつもりだ。
しかし、実際そうなっていたら……俺はどうした? 自分に問いかけると、またひどい頭痛に襲われ、俺はその痛みに誘われるように眠りについた。
その夜、俺は夢を見た。
エルザがべつの男と結婚し、それに絶望してエルザを殺してしまう夢。しかも一度だけでなく、何度も。俺は彼女の身体に剣を刺し、そこから溢れる血で視界を染める。
「っ!」
あまりにリアルな光景に飛び起きる。夢なのに、全身に浴びる返り血が温かかったのは気のせいか。
恐る恐る両手を見つめるが、俺の手は真っ白なままで汚れていない。だけども、なぜかひどく汚れているように見える。
「フリーダ……?」
頭痛に眉をひそめながら、俺はなんとか返事をする。
「彼女、相当ノアに惚れこんでいただろう。国王様と親睦のある父親に頼んで、どうにかノアと結婚しようとしたりさ」
「ああ、そんな話もあったな」
父上に一時期、フリーダとの結婚を執拗に勧められたことがある。彼女の実家、トイフェル侯爵家は多くの鉱物資源を持っており、それらは加工や取引に使われ国にとっても重要な資源。そんなトイフェル侯爵家とこれからも友好的な関係を築くため、父上は結婚の申し出を受けたかったに違いない。
俺は断固として拒否したが、二十歳までに結婚を決めなければ強制的に結婚させると言われていた。だから俺はそれまでに、必ずエルザと……と思っていた。
「彼女、どうせノアはベティーナと別れないと思っていたから、二十歳になるのを余裕で待っていたんだよ。ノアが侍女を好きな限り、ほかの女と結婚するはずがないって。その予定が狂った挙句、相手は格下に見ていたエルザ。彼女の高すぎるプライドが黙ってないだろうね」
「なるほどな。トイフェル侯爵家の動きには気を付けておこう」
話がひと段落したところで、ベティーナとアルベルトはそれぞれ俺の部屋から出て行った。
……さすがに俺も疲れたな。
灯りを消した部屋でひとりでベッドに横たわりぼーっとする。疲労感に身体を蝕まれながらも、今日のエルザのドレスアップ姿を思い出すと自然と口角が上がった。まさに俺色に染められているかのようだった。最後は嫉妬心まで露にして……ああ、可愛い。今すぐエルザの部屋に行って、華奢な身体を抱きしめて一緒に眠りにつきたい。
「……はあ……エルザ、好きだ……」
誰もいない部屋でひとり愛の告白をしてしまうほど、俺の脳内は君に侵されている。正式に結婚して、夫婦になってからも、俺はエルザへの想いが募るばかりだ。俺は死ぬ瞬間まで君に恋い焦がれ、死んでもなお、君を想い続けるだろう。
こんなだから、アルベルトやベティーナに俺の愛は重いとからかわれるのもわかっている。だが、俺にとってはこれが普通なのだ。
『ノア様を好きになるのは、怖いです』
その時、エルザが不安げな表情で俺にそう言ったのを思い出した。
人の本心を知る方法はどこにもない。よって、エルザが抱く怖いの意味を、俺は知ることができないが――もし、俺のこういった愛の重みがエルザになにか恐怖を植え付けているのなら。そう思うと、胸が痛む。だけど俺は、君への想いを制御する方法がわからない。
『私がノア様以外の人と結婚したら……ノア様は、私を殺しますか?』
――あの時エルザにした返事は本心だ。否、本心のつもりだ。
しかし、実際そうなっていたら……俺はどうした? 自分に問いかけると、またひどい頭痛に襲われ、俺はその痛みに誘われるように眠りについた。
その夜、俺は夢を見た。
エルザがべつの男と結婚し、それに絶望してエルザを殺してしまう夢。しかも一度だけでなく、何度も。俺は彼女の身体に剣を刺し、そこから溢れる血で視界を染める。
「っ!」
あまりにリアルな光景に飛び起きる。夢なのに、全身に浴びる返り血が温かかったのは気のせいか。
恐る恐る両手を見つめるが、俺の手は真っ白なままで汚れていない。だけども、なぜかひどく汚れているように見える。