恋の罠は酷く切ないけど甘い

第二話 予想外の再会

まだ記憶に新しい都内にある高級ヒルズは、緑が多くとても美しい場所で、たくさんの人で溢れかえっている。
クリスマスが近いこともあり、広場にはいくつもの露店が並び、それはその後ろの巨大なビル群とはなんとなく対照的に見える。

いくつものビルの中にはショッピングモールやレストランはもちろん、最高級のホテル、レジデンス、有名企業が名を連ねている。
夜になればイルミネーションも点灯するのだろう。緑や赤の飾り付けがとても素敵だ。

「さすがだな、ここに新しく本社を構えるのは」
無意識に立ち止まりその光景に見入ってしまっていた私だったが、少し前にいた代表の独り言でハッと我に返る。

「前は恵比寿だったか?」
足を踏み出し彼の横に並び「はい」そう答える。

仕事をするにあたって、リサーチしたことで卒業後の藤本先輩の情報は、嫌というほど知ってしまった。

大学を卒業後、ホテル部門で仕事をした後、満を持して二年前、リゾート開発部門であるキャセルリゾートのトップに就任したそうだ。
そしてその一年後、このヒルズに本社を移転したらしい。

その発表パーティーの様子は、私も確かにニュースでちらりと見た記憶がある。

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