恋の罠は酷く切ないけど甘い
第三話 激動の一日
「結婚しないか」
コロコロと転がったペットボトルを拾おうとしゃがむと、その前に彼がそれを拾いながら同じセリフを口にする。
そして彼は私にそれを手渡そうとしたが、私はそれを受け取れなかった。
「気でも狂ったんですか?」
なんとか、それだけの言葉を発する。
再会してすぐにこんな冗談を言う人だっただろうか。
過去のことから私を軽蔑しているはずだ。本来、仕事をするだけでも彼がどう思っているか不安だったのにいきなり結婚などとふざけたことを言う彼が信じられない。
「狂ってない」
真剣な瞳に意味が解らず、お互い睨みあっている時だった。
「誰か付き合ってるやつとか、好きなやつがいるのか?」
至極真面目な瞳に、私は何も答えられずにいた。どういうつもりで相手がいるか聞いているのかもわからないし、相手がいないと言えば結婚という考えも到底理解できるものではない。
「やっぱり、春元さんと?」
「玲衣さんとはそんな関係じゃありま……」
玲衣さんの名前を出され、つい私はそう答えていた。
「じゃあ、付き合っている人はいないんだな」
玲衣さん以外という可能性だってあるじゃない。そうは思うが実際はいないのだから、嘘はつきたくない。
無言を肯定だと受け取られてしまってもしかたがない。
しかし、だからといって結婚なんて、どういうつもりかわらかない。
なぜか睨みあうような形になったまま、お互い動きを止めた。
コロコロと転がったペットボトルを拾おうとしゃがむと、その前に彼がそれを拾いながら同じセリフを口にする。
そして彼は私にそれを手渡そうとしたが、私はそれを受け取れなかった。
「気でも狂ったんですか?」
なんとか、それだけの言葉を発する。
再会してすぐにこんな冗談を言う人だっただろうか。
過去のことから私を軽蔑しているはずだ。本来、仕事をするだけでも彼がどう思っているか不安だったのにいきなり結婚などとふざけたことを言う彼が信じられない。
「狂ってない」
真剣な瞳に意味が解らず、お互い睨みあっている時だった。
「誰か付き合ってるやつとか、好きなやつがいるのか?」
至極真面目な瞳に、私は何も答えられずにいた。どういうつもりで相手がいるか聞いているのかもわからないし、相手がいないと言えば結婚という考えも到底理解できるものではない。
「やっぱり、春元さんと?」
「玲衣さんとはそんな関係じゃありま……」
玲衣さんの名前を出され、つい私はそう答えていた。
「じゃあ、付き合っている人はいないんだな」
玲衣さん以外という可能性だってあるじゃない。そうは思うが実際はいないのだから、嘘はつきたくない。
無言を肯定だと受け取られてしまってもしかたがない。
しかし、だからといって結婚なんて、どういうつもりかわらかない。
なぜか睨みあうような形になったまま、お互い動きを止めた。