天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「日中、俺の評判を聞いてまわっていたそうだね」

(そんなことまで知っているの⁉)

 思わず背筋が凍る。でもそれを悟られてはいけないので、笑顔を顔に張りつける。

「ええ、離れていた間の私の生活のことを雲朔が知りたがったように、私も雲朔がどんな生活をしていたのか知りたいの」

 雲朔は黙って、考え込んでいるようだった。確実に不審に思われている。背中に冷たい汗をかきながら、顔は笑顔を保つのに必死だった。

「俺の八年間が知りたい? 知ってどうするの?」

「どうするかは知った時に考えるわ。知りたいと思うのは当然でしょう?」

「俺が、昔と変わってしまったから?」

 本質を突かれて、言葉を失う。雲朔は畳みかけるように話を続ける。

「川に落ちたくらいで風邪をひいて寝込んでしまうくらいひ弱だった男が、剣を振りまわして皇帝の座を奪ったことが信じられない?」

 まるで心の中を読んでいるかのような言葉に、私はなにも言い返せなかった。
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