天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 簒奪帝の政治に不満を持つ者を集め、玉璽を見せると人々は雲朔を神のように崇めた。そうやって短期間で大きな戦力を得た雲朔はついに国を攻める。

 私利私欲に溺れすっかり怠け切った国の戦力は弱体化していて、雲朔たちの奇襲に呆気なく敗れた。

 もう負けが確定した簒奪帝は、宮殿に逃げ込むと臣下に自害を命じ、女官や後宮妃もろとも火で焼き尽くした。

 雲朔は人々を救おうと尽力していたが、救えなかった者たちも大勢いた。

 雲朔が殺したと巷で言われていたが、実際は簒奪帝によって道連れにされていたのだった。

 そして新皇帝となった雲朔は最愛人を探す旅に出たのだった――


 真眩鏡に映し出された過去の映像が消えた。

 まるでその場にいたかのような臨場感だったので、私はしばらく驚きに包まれ言葉を発することができなかった。気持ちを必死で整えようとしている私に、雲朔が穏やかな口調で映像の補足を告げる。
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