天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 しょんぼりしながら部屋を出て行く亘々を見て、少し罪悪感が芽生えた。眠いけれど、話した方がいいだろうかと思っていると……。

「起きたらすぐに呼んでくださいよ!」

 と去り際に念を押されたので、逆に罪悪感は消えた。

「はいはい」

 宮廷に戻ってから、どちらが年上かわからないくらい亘々は明るくなった。きっと今の姿が本来の亘々で、今までは私を守るために必死だったのだろう。

(今の亘々の方が一緒にいて楽しいわ)

 私は微笑みながら眠りについた。今日は久しぶりになんの不安もなく眠れそうだった。

 目が覚めると、もう昼過ぎだった。

 遅めの昼餉を食べながら、亘々と二人だけで話をする。

 ちなみに亘々は、山盛りの饅頭を持ってきた。もちろん亘々が食べる用である。そして亘々は数刻前にしっかりと昼餉を食べている。
「亘々、こちらに来てから食欲が暴走していない?」

「私は元々大食漢です」

 亘々は饅頭を頬張りながら言った。
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