天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
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 皇帝と皇后の結婚式は、私の想像をはるかに上回る豪華さだった。

 形式上だけだけれど、輿入りは二度目の私。妃嬪(ひひん)は結婚式を挙げないので、初めての儀式だ。

 通常、結婚式までにある六礼といわれる、新婦側へ贈り物をする納采(のうさい)や、新婦を花車に乗せ新郎の家まで運ぶ親迎(しんげい)は行われなかった。

 私の両親は亡くなっているし、すでに後宮入りしているので、六礼をしなかったというより、できなかったという方が正しい。

 石畳には赤い敷物が敷かれ、宮殿前はお供え物やお酒、そして美しい花々で彩られている。赤い敷物の横には、文武百官が立ち並び儀仗(ぎじょう)していた。

 宮殿の最上段に皇帝と皇后が座るところがあるので、そこに鎮座し、神官が祝詞(のりと)を奏上(そうじょう)し、神々に捧げられる音楽が鳴り響く。そうして数時間に渡る儀式は粛々と進行していった。
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