天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
雲朔と言葉を交わすことなく、一切の儀式が滞りなく終わった。
翠帳(すいちょう)紅閨(こうけい)の赤い寝台の上で、赤い花嫁衣裳を身に纏い、紅蓋頭(ホンガイトゥ)と呼ばれる赤い頭巾を頭から被って新郎を待つ。
皇帝の訪れを知らせる鈴の音が鳴り、部屋に誰かが入ってきた気配がするのを感じた。頭巾を被っているので見ることはできないし、慣例上声を出すこともいけない。
寝台に座りながら、静かにその時を待つ。
そして、頭巾は上げられた。伏し目で待っていた目を上げると、そこには涼やかな眼差しの雲朔がいた。
雲朔は、黒色の袍に、赤い前掛けをかけていた。結婚式とは違い、冕冠(べんかん)や金糸で織られた龍の刺繍の入った上着などは脱いでいる。
流れるような黒髪に、息を飲むほど整った顔立ちで、真っ直ぐに私を見つめる雲朔。溢れ出る気品の中に、修行で培った野性的な雰囲気が混在している。
昔のようなひ弱で線の細い小柄な男の子の影はない。
翠帳(すいちょう)紅閨(こうけい)の赤い寝台の上で、赤い花嫁衣裳を身に纏い、紅蓋頭(ホンガイトゥ)と呼ばれる赤い頭巾を頭から被って新郎を待つ。
皇帝の訪れを知らせる鈴の音が鳴り、部屋に誰かが入ってきた気配がするのを感じた。頭巾を被っているので見ることはできないし、慣例上声を出すこともいけない。
寝台に座りながら、静かにその時を待つ。
そして、頭巾は上げられた。伏し目で待っていた目を上げると、そこには涼やかな眼差しの雲朔がいた。
雲朔は、黒色の袍に、赤い前掛けをかけていた。結婚式とは違い、冕冠(べんかん)や金糸で織られた龍の刺繍の入った上着などは脱いでいる。
流れるような黒髪に、息を飲むほど整った顔立ちで、真っ直ぐに私を見つめる雲朔。溢れ出る気品の中に、修行で培った野性的な雰囲気が混在している。
昔のようなひ弱で線の細い小柄な男の子の影はない。