天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「ここで何千人もの命が奪われたと思うと怖いっすね」

 亘々は両手を組み、体をぶるっと震わせた。

 不気味な気味悪さが辺りをたちこめている。

「ここは、後宮内でもひと際絢爛豪華で大きな宮殿だったのですよ。毎夜宴が催され、簒奪帝は政治などお構いなしに色欲に溺れておりました」

 郭解は昔を思い出しているのか、じっと廃墟と化した建物を見つめていた。

「罰が当たったんですよ、天罰です」

 亘々は吐き捨てるように言った。

「ええ、そうでしょうね」

 私はここを見てあることを決めた。

 後宮を復興するには、まずはここからだと思った。

「亡くなった多くの人々を弔わなければいけないわ。ここには霊廟を作りましょう。二度とこのようなことが起きないように」

「なるほど、それはいいですね!」

 亘々も賛成した。

「郭解はどう思う?」

 華蓮が問うと、郭解は困ったような顔を浮かべた。
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