天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「とても素晴らしい案かと思います。しかし、その案を実行するには、一つだけ大きな問題があります」

「なにかしら?」

「お金がありません」

 郭解の言葉に、私と亘々は目をしばたいた。

「簒奪帝はこの八年間で豪遊しすぎました。国費は空っぽです。いや、空っぽどころか借金だらけです」

「しゃ、借金……」

 国の借金はすなわち、皇帝の借金でもある。皇帝に嫁いだのだから、一蓮托生だ。

 皇后となったが、どうやらとんでもない借金持ちからの新婚生活のようだ。

「お嬢様、とんでもないところに嫁入りしてしまったようですね」

 亘々はつい昔の呼び名で私を呼んだ。

 波乱の幕開けの結婚であった。

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