天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
そのまま雲朔は私を寝台に押し倒し、首筋に口付けを落としてきたので、慌てて雲朔を制した。

「待って、雲朔。話したいことがあるのよ」

「終わってからじゃ駄目?」

 雲朔は甘えるような声で言った。

「それだと、話す気力も体力もなくなっているわ」

 昨夜で身に染みた。私は気を失うように眠ってしまったのだ。

「う~ん、それもそうか」

 雲朔は渋々ながら納得し、体を離した。

「それで、話っていうのは?」

 雲朔と私は、寝台の上でお互いに膝をつき向き合った。

(う……なんだか言いづらいわ)

 そもそも言ってどうするというのか。国が借金だらけということを知って動揺するばかりで、雲朔になにをどう伝えるかは全く考えていなかった。

(でも、このままでいいはずがないわ。私は雲朔のお嫁さんになったのだから、夫を支えるのは妻の役目でしょう?)

 私は一つ深呼吸をして、雲朔の目をしっかりと見つめた。
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