天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 俺は肘を机につき、額に手を当てて、大きなため息を吐いた。

(国民は長年の多税に疲れきっている。なんとか緩めてやる方法はないだろうか)

 文官からの報告書を再び全て見返して、なにか良い案が見つからないか思慮を巡らす。

(華蓮にまで心配されるとは、情けない。俺がこの国を救わなければ)

 俺は無性に自分が悔しくなって、上げていた前髪を手櫛でぐしゃぐしゃにした。

 そして再び大量の竹簡に目を通す。なにかを見落としていないか確かめるために。

(ん? これは一体どういうことだ?)

 僻地の島で起きた小さな異変。害虫が大量発生したとの報告だった。

(……害虫? この島は華蓮が暮らしていた村の者たちが集団移転したところだ。なにが起きている?)

 言いようのない胸騒ぎがした。こんなこと、取るに足らない些末なことだ。それでもやけに気になる。

 俺はすぐに、島に調査員を派遣して詳細を報告させるように指示した。

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