天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~


 俺が調査団を派遣してから数日後。

 衝撃的な報告が宮廷を駆け巡った。

 華蓮を虐げていた村人を島流しした土地で尸鬼が発生したというのだ。

 すぐさま数十人の高官が集められ、広間で会議が開かれた。

「尸鬼? それは伝説の生き物ではないのか?」

「尸鬼とはなんだ、どうして尸鬼だとわかる」

 困惑の声があちこちから上がり、収拾がつかない状態となっていた。

 俺も竹簡に目を通しながら、真偽を疑っていた。

(実際にこの目で見ないことには判断のしようがない)

 そして俺は決断を下した。

「数日後に出立するぞ、準備をしろ」

 俺の言葉にその場が静まり返った。

「陛下自らが行かれるのですか?」

 御史大夫(ぎょしたいふ)が、おずおずと聞いた。

「もちろんだ。尸鬼かどうかこの目で見てくる。そしてなんであっても根絶やしせねばならんだろ」
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