天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
竹簡には、尸鬼の怖ろしさが切実に書かれていた。

 尸鬼は、まるで腐った死体のような見た目で、触れるものを腐らせていくらしい。尸鬼に触れられた植物は枯れ、生き物もドロドロに溶けるように腐っていく。

 この報告が真実であるならば、尸鬼を倒さなくてはいけない。

「しかし、どうやってそんな怖ろしい化け物と戦うのですか?」

 御史大夫の指摘はもっともだった。誰もこんな怖ろしい化け物と戦いたくなどない。

「それは出立までに考える。俺に任せていれば大丈夫だ」

 俺の自信に満ち溢れた言葉に、その場にいた者たちは承諾した。しかしながら、皆が手放しで承諾したのではないことを感じ取っていた。他に良い案が見つからなかったから渋々承諾した、というのが本音だろう。

 いくら皇帝といえど、ただの人間。尸鬼とどのように戦うつもりなのか半信半疑なのだろう。

 正直言うと、俺もどう戦うのが正解かまるで見当もつかない。でも、やるしかない。俺は皇帝なのだから。

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