天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 せっかく八年ぶりに再会できたのに、もしも雲朔が死んでしまったら……。

 縁起でもない考えが浮かぶたびに、胸が締め付けられる。

(行かないでと言えたらどんなに良かったか……)

 雲朔はもう、彼一人だけの命ではないし、私だけの雲朔でもない。

 今や雲朔は皇帝で、私は皇后だ。

「そうですよね、天が大家をお守りしてくれます」

 亘々の言葉に私はハッと顔を上げた。

「亘々、たまにはいい事言うじゃない! それよ!」

「はい?」

 亘々はきょとんとした顔で私を見た。

 私は高揚し、輝くような瞳で亘々を見つめる。

 私を慰めるために深い意味もなく口にした言葉を褒められて、亘々は戸惑っていた。

「え、なんで? 私はいつだっていい事しか言ってないですけど?」
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