天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「それなら、地獄で永遠に苦しみ続ければいいんだわ。どうして表に出てくるのよ」

 つい本音が出てしまう。永遠に苦しみ続けると聞いても同情する心はまったく湧いてこない。

「それは悪霊のせいではない。悪霊は意思を持たない。悪霊は引き寄せられたのだ、人間の醜い業(ごう)に」

 尸鬼が発生したのは、私が以前住んでいた村の住民が移住した島だという。

 彼らがいかに心根が腐っている人たちか知っている。彼らはいつも愚痴や悪口を言っていて、自分たちが苦労したり努力することは決してせず、他人の金を当てにして自分たちがいかに楽して生活できるかばかりを考えていた。

 村人たちは働くことが大嫌いだった。島に流されても、一致団結して開拓していけば暮らしていけるだけの資源や食料がある島だったらしいけれど、彼らは不満を口にするだけで勤勉に働こうと思う者はいなかったに違いない。

 自らの処遇を呪い、島流しにした皇帝を呪い、衰弱していったのならば、同じく皇帝を呪って死んだ簒奪帝の悪霊を呼び寄せたとしてもおかしくはない。
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