天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

天に認められし者

 俺たち一行は、ついに島を結ぶ船乗り場に到着した。

 そこで新たな情報を様々仕入れることができた。

 漁業を生業にしている船乗りたちは、尸鬼の姿を見ていた。その姿は、腐りかけた人間だという。生きているはずもない人間が、島内を彷徨い歩いているというのだ。

 実り豊かだった島は枯れ果てているらしい。

 派遣した調査員とも合流し、さらに詳細を聞く。

 尸鬼は海には飛び込んでこないので、遠くから観察していたらしい。怖ろしくて島に上陸する勇気はなかったと申し訳なさそうに報告されたが、俺はそれで良いと労った。

 最初に害虫がたくさん出たとの報告は、船乗りたちが島が枯れていく様子を見て、害虫が出たのだろうと勘違いしたらしい。その後、多くの者たちが尸鬼の姿を目撃している。

「尸鬼が島内に留まってくれているのなら、このまま放っておいてもいいんじゃねぇの?」

 雄珀の言葉に、船乗りたちが一斉に口撃してきた。
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