天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
使う船は、数人乗りの木製の小舟だ。乗るのは、ここら辺の海を良く知る船乗りと、弓矢の達人の弦武(げんむ)、雄珀、俺の四人のみ。
他の武官たちは本部で動向を見守る。今回の船出は前哨戦。実際の目で尸鬼を見ることが一番の目的だ。
そして、朝日が昇ると共に、俺たちは小舟に乗って島へと近付いた。
「案外簡単に死んでくれねぇかな、尸鬼」
船に揺られながら雄珀が言うと、弦武が苦笑いして答えた。
「弓が有効だとしても、島内に入らず駆逐するとなったら長期戦になりますよ」
弦武はまだ十代の麗しい青年だ。品が良く頭もいい。貴族出身だが簒奪帝に後宮妃だった姉を殺され、前回の戦いにも参加している。
「長期戦か~、それも嫌だな~」
雄珀は仰け反りながら嘆いた。
尸鬼は海には入らないとわかっているので緊張感は薄い。
俺は、すでに尸鬼が海を渡り領土を侵攻している最悪の筋書きを思い描いていたので、尸鬼が海を渡れないというのは嬉しい誤算だった。
他の武官たちは本部で動向を見守る。今回の船出は前哨戦。実際の目で尸鬼を見ることが一番の目的だ。
そして、朝日が昇ると共に、俺たちは小舟に乗って島へと近付いた。
「案外簡単に死んでくれねぇかな、尸鬼」
船に揺られながら雄珀が言うと、弦武が苦笑いして答えた。
「弓が有効だとしても、島内に入らず駆逐するとなったら長期戦になりますよ」
弦武はまだ十代の麗しい青年だ。品が良く頭もいい。貴族出身だが簒奪帝に後宮妃だった姉を殺され、前回の戦いにも参加している。
「長期戦か~、それも嫌だな~」
雄珀は仰け反りながら嘆いた。
尸鬼は海には入らないとわかっているので緊張感は薄い。
俺は、すでに尸鬼が海を渡り領土を侵攻している最悪の筋書きを思い描いていたので、尸鬼が海を渡れないというのは嬉しい誤算だった。