天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
亘々は孤児となり女衒(ぜげん)に売られそうになっているところを私の父が助け、私と共に女官として後宮入りした。

 董家に多大な恩があると思っている亘々は、私を実の妹のように可愛がり生涯尽くすと決めている義理堅い人物である。

 四歳で後宮妃となった私だが、亘々もいるし、宮廷には父もいるので寂しくはなかった。

後宮は基本的には男子禁制なのだが、皇帝は後宮妃には手を出さないのでそのしきたりも緩かった。

禁軍大将である父は、自由に出入りできるとはいえないけれど、宦官の付き添いがあれば私に会うこともできた。

そんなわけで、至れり尽くせりの環境で伸び伸びと私は育っていったのである。

 ……というか、伸び伸びと育ちすぎた。
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