天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「董昭媛、いけません、今すぐ降りてください!」
女官たち数名が、太湖石(たいこいし)で造られた築山を見上げて叫んでいる。董昭媛とは私のことで、後宮妃は姓に階級をつけて呼ぶ習わしがある。
こういう時、いつも助けてくれるのは亘々なのだが、あいにく亘々は用事があって側にはいない。もちろん私はそれを分かって太湖石に登っている。亘々がいれば登る前に阻止されていただろう。
「嫌よ、せっかく登ったんですもの。この素晴らしい光景を目に焼きつけなくちゃ」
私は誇らしげに言い放った。お察しの通り、八歳になった私は厄介なお転婆(てんば)娘だった。自由奔放といえば聞こえはいいが、世話をする女官たちから見ればただの我儘娘である。気苦労は絶えない。
女官たちは困り果て、誰が太湖石に登って私を引きずりおろすか目配せをしながら様子をうかがっている。当然ながら、誰もこんな危険な岩に登りたくはない。
そんな中、救世主が現れた。
女官たち数名が、太湖石(たいこいし)で造られた築山を見上げて叫んでいる。董昭媛とは私のことで、後宮妃は姓に階級をつけて呼ぶ習わしがある。
こういう時、いつも助けてくれるのは亘々なのだが、あいにく亘々は用事があって側にはいない。もちろん私はそれを分かって太湖石に登っている。亘々がいれば登る前に阻止されていただろう。
「嫌よ、せっかく登ったんですもの。この素晴らしい光景を目に焼きつけなくちゃ」
私は誇らしげに言い放った。お察しの通り、八歳になった私は厄介なお転婆(てんば)娘だった。自由奔放といえば聞こえはいいが、世話をする女官たちから見ればただの我儘娘である。気苦労は絶えない。
女官たちは困り果て、誰が太湖石に登って私を引きずりおろすか目配せをしながら様子をうかがっている。当然ながら、誰もこんな危険な岩に登りたくはない。
そんな中、救世主が現れた。