天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

後日談

 雲朔が凱旋した。

 麒麟が現われて、尸鬼を倒したという話はあっという間に国中に広まった。国中が名君の誕生をお祝いしお祭り騒ぎだ。

 私の切実な祈りは、少しは雲朔の役に立ったのだろうか。私が祈ろうが祈らまいが結果は同じだったかもしれないけれど、あの時自分にできる精一杯をやったことに後悔はない。

 行動を起こした。それが、宮中の人々に届き、信仰心を復活させたことが、目に見える一番の収穫だった。

 きっと、歴代の偉大な先祖たちも力を貸してくれたのだと思う。そう感じる、それだけで全てに感謝する理由になる。

雲朔が帰ってきたという一報を聞いた私は、後先考えずに後宮を飛び出した。

 私の後ろから亘々や女官たちが「お待ちください!」と一生懸命追いかけてくる中、みんなを振り切って、紫禁城の太和殿広場に到着したという一行の元へ走っていった。

 到着したばかりの雲朔はまだ馬に乗っていて、多くの武官や官吏に囲まれながら祝福されていた。

そんな中、私が多くの女官たちに追いかけられながら太和殿広場へと走ってきたのだ。

 馬に乗っていた雲朔は、私が走ってくるのを見つけると、何事かと驚いた様子で馬から下りた。

 雲朔を取り囲むように集まっていた人々も、私の姿を見ると、まるで道を開けるように雲朔から離れていった。

 雲朔は馬の手綱を近くにいた武官に託すと、私の方へ走って駆けてきた。
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