天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
私はそのままの勢いで思いっきり雲朔に抱きつき、雲朔はそれをしっかりと受け止めてくれた。

 大勢の人たちの中で、私たちは抱き合って再会を喜んだのだ。

 とんでもなく怒られることを覚悟していたのだけれど、なぜか周囲から拍手が起こり、私たちを祝福してくれた。

久しぶりの雲朔は、また少し成長したみたいでがっしりとした体つきだった。それに、戦から帰ってきたので、いつも衣に焚いている高級なお香の匂いもしなくて、草地に体を擦りつけたみたいな匂いがした。

それが、雲朔が生きている証拠みたいな気がして、胸の奥が熱くなった。

 もう二度と会えないかもしれないと、不謹慎な思いが頭に浮かぶ度に考えないようにしていた。念願だった結婚もできたのに、今度こそ二度と会えない状況になったらと思うと、怖くて仕方なかった。

「会いたかった、会いたかった、雲朔」

 私は雲朔の首に手をまわして、ぎゅっと抱きしめる。

「うん、ただいま」

 雲朔は私を首筋に鼻を寄せ、私の匂いと温もりを堪能するかのように言った。

 雲朔は、雲朔だ。皇帝になったとしても、名君となって歴史に名を残す偉大な人物になるとしても、私にとって雲朔は雲朔だ。

 ずっと、大好きな人。
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