天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 ◆

―― 一年後。

「凄いぞ、借金返済だ!」

 中央官僚を集めた会議の場で、俺は喜びの声を上げた。

「さすがは麒麟に認められた名君でございます」

高官たちは拍手をして讃えた。

 尸鬼との戦いから、全てが変わった。官僚たちは俺への信を深め、意見をよく聞いてくれるようになった。

 宮廷の武官と文官は昔から仲が悪かったが、『皇帝陛下のために』と一枚岩になって仕事をしてくれるようになった。

 さらに国民たちも、これまでは重税で不満が多かったのに、『大栄漢国を立て直すんだ』と無償で公共事業などに参加するようになり、どんどん財政は潤っていった。

 当初の予定では、最低でも三年は厳しい状態が続くと思われたが、皆が一致団結するところまで急成長するのかと驚くばかりだ。

 皆の信頼が厚くなったのは、麒麟の出現だけではない。華蓮が皆の信仰心を盛り上げてくれたからだ。
< 206 / 247 >

この作品をシェア

pagetop