天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 普段は自分の頭があまりにも精密なのでうっとうしくなるが、こういう時は、賢くて良かったと思う。

 頭が回りすぎるというのも、なかなか面倒なものだ。

たとえば、一人でいられる時間がないと駄目なのも、他者といると様々なことが気になって仕方なくなるから疲れる。

華蓮となら、むしろずっと一緒にいたいと思えるのだが、本来の性格は人に興味がないので、だんだんと息が詰まってくる。

地面を這いつくばって、虫にしか興味を抱けなかった男が、皇帝となってしまった。両親を殺された復讐心もあるが、もしも華蓮を助け出すという目標がなければ、ここまで頑張ることはできなかっただろう。俺の行動動機の中心はいつだって華蓮だ。

華蓮は良くも悪くもなにも考えていない。もちろん彼女なりに思い悩んだりすることがあるのは知っているが、基本的に昔から自分が楽しいか楽しくないかで判断する。

楽しければ笑い、悲しければ涙する。怒りたいときは怒って、眠たくなったら寝る。

感情が顔にそのまま出るのでわかりやすい。一緒にいると、世の中のほとんどのことはどうでもいいことのように思える。
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