天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
麒麟が俺の前に出現したことにより、『名君だ』と盲目的に崇拝されるようになったが、本来の俺は大した人物ではない。

頭の中は華蓮でいっぱいだし、基本的に人なんてどうでもいいし、大義のためなら弱者も切り捨てる冷酷さを持っている。

犠牲者を出したくないのは、単なる俺の身勝手さだ。

人であろうが動物であろうが、虫であろうが、目の前で死ぬのを見たくないからだ。

なんとなく嫌だ、ただそれだけの感情で動いている。

名君だと崇拝されるのは、買いかぶりすぎだとわかっているのに、否定しないのは、その方が都合がいいからだ。

こんなのが皇帝で、この国はかわいそうだなと思うから、自分にできることは最大限にやる。

ただそれだけだ。

それに、豊かで幸せな国を作ったら華蓮が喜ぶから。

俺の行動理由なんて、そんなものだ。


さあ、今夜も華蓮の元へいこう。
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