天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

全てを失ったその先に

 十六歳になった私は、八年前とは比べ物にならないくらい質素で狭い部屋で、亘々の帰りを待っていた。

 新皇帝となった大栄漢国の情報を得るために、村から出て行って数日がたっている。それほど私たちが身を寄せている村は辺境の地にあるのだ。

 ここまで田舎に下がったのは、皇帝となった盾公から逃れるためだ。

 盾公は、宮廷のみならず、都に住む皇帝派の一族もろとも処刑した。その処刑方法はあまりにも残虐だった。

人間の体を車で引っ張って引きちぎる車裂(しゃれつ)の刑や、生きたまま皮をはぎ取る剝皮(はくひ)の刑など、人間の所業とは思えないほど非道な行いだった。

 あの時、雲朔が逃がしてくれなかったら確実に私は死んでいた。

 けれど、私を救ってくれた雲朔の行方がわからない。

「絶対に迎えに行くから」と約束したのに、雲朔は見つけにきてはくれなかった。

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