天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
そう言って雲朔は微笑んだ。
武官たちの中でどよめきが起こる。
「笑った、笑ったぞ、感情を一切表に出さないあの陛下が」
「俺は口の端すら動いているとこを見たことがないぞ」
とんでもない言われようだ。どうやら雲朔の笑顔はとても貴重なものらしい。
しかし、すぐに笑顔は消えて、私が聞いたこともないような迫力のある声で雲朔は武官たちに命令した。
「聞け、皆の者! この女性は私の大切な人であるゆえ、無礼は許さんぞ。私以上に丁重に扱え。もしも彼女になにかあったら、命はないと思え!」
雲朔の言葉に、武官たちが一斉に地面に頭をつけた。
あまりの雲朔の変貌ぶりに、私の顔が固まる。
(……この人は、誰?)
声も姿も変わったとはいえ、雲朔の面影は確かにある。雲朔であることに間違いはないのだが、私の知っている雲朔ではない。
昔の雲朔は、誰に対しても礼儀正しく、温厚で体が弱かった。異常な虫好きという変わった一面もある男の子だ。
対して、今の雲朔は屈強な体に高い背丈。威圧的な雰囲気と溢れ出る自信を放っている。まるで正反対に成長した雲朔に、戸惑いを感じないはずがない。
(あの雲朔が皇帝に。剣を持つことすら嫌がっていたのに。雲朔が、冷酷非道で大量虐殺をした新皇帝? 虫一匹殺せないような男の子だったのに……)
この八年で雲朔の身になにがあったのか。
目の前の人物が雲朔だといわれても、妙な違和感を覚えるのだった。まるで、初めて会う人物のような……。
武官たちの中でどよめきが起こる。
「笑った、笑ったぞ、感情を一切表に出さないあの陛下が」
「俺は口の端すら動いているとこを見たことがないぞ」
とんでもない言われようだ。どうやら雲朔の笑顔はとても貴重なものらしい。
しかし、すぐに笑顔は消えて、私が聞いたこともないような迫力のある声で雲朔は武官たちに命令した。
「聞け、皆の者! この女性は私の大切な人であるゆえ、無礼は許さんぞ。私以上に丁重に扱え。もしも彼女になにかあったら、命はないと思え!」
雲朔の言葉に、武官たちが一斉に地面に頭をつけた。
あまりの雲朔の変貌ぶりに、私の顔が固まる。
(……この人は、誰?)
声も姿も変わったとはいえ、雲朔の面影は確かにある。雲朔であることに間違いはないのだが、私の知っている雲朔ではない。
昔の雲朔は、誰に対しても礼儀正しく、温厚で体が弱かった。異常な虫好きという変わった一面もある男の子だ。
対して、今の雲朔は屈強な体に高い背丈。威圧的な雰囲気と溢れ出る自信を放っている。まるで正反対に成長した雲朔に、戸惑いを感じないはずがない。
(あの雲朔が皇帝に。剣を持つことすら嫌がっていたのに。雲朔が、冷酷非道で大量虐殺をした新皇帝? 虫一匹殺せないような男の子だったのに……)
この八年で雲朔の身になにがあったのか。
目の前の人物が雲朔だといわれても、妙な違和感を覚えるのだった。まるで、初めて会う人物のような……。