天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 数日をかけて雲朔と共に都に帰った。

私は輿に乗せられ、恐縮するくらい丁寧に扱われた。私に気軽に話しかける者はいないし、私が話しかけると地面にひれ伏して答えるのだから、私から話しかけることはできない。

 唯一話せるのは雲朔のみなのだが、雲朔も昔のように気さくな雰囲気はなく、気おくれしてしまうのだった。

 もちろん雲朔は私に対して優しい。優しすぎるくらい優しい。でも、ずっと違和感が拭えないのだった。

 八年ぶりの宮廷は、全てが様変わりしていた。記憶にある宮廷は、もっとはつらつとしていて、活気に満ちていた。

 先の皇帝の座を奪った戦で多くの官民が死んだので、ひっそりとしている。八年前は、武官よりも文官が多かったのだが、今はほとんどが武官なのだという。

 後宮には妃どころか女官すらいない。
< 76 / 247 >

この作品をシェア

pagetop