明日も君と、手を繋いで歩きたい
いつからかな…
こんなに恋に落ちていたのは
毎日が輝いていて
毎日が嬉しくて
明日が早く来ないかなって思えた
君と手を繋ぐ事が
人生の中で唯一の幸せだと思っていた
でも今は……
明日は来ないで欲しい
そう思うようになってしまった
桜の花が満開に咲く頃、不安でいっぱいだった自分に、君が声を掛けてくれた。
「何聴いてるの?」
ワケがあって遠方の学校に通う事になって、友達がいないから授業中も休み時間もお昼もずっと音楽を聴いていた。
「え……ボカロだけど……」
「わかんないでしょ?ボカロ」
「知ってるよ、ボカロは超好き」
「そうなんだ!どのPが好き?」
そんな会話をしていると、君は突然口に手をあててクスクスと笑い始めた。
「でもさ……授業中も毎回音漏れてるよ」
「マジ?やばいね……もっと早く言ってよ」
その時二人はドッと笑った。
君の笑顔は無邪気で子供じみていたが、とても愛らしく、とても優しかった。
「ちょっと聴いて良い?」
そう言った君の綺麗な指先は、ゆっくりと耳を触り、イヤホンを優しく外して、自分の耳につけた。
「いい歌だね、これも」
「う、うん……」
突然の恥ずかしさからか、空っぽになった片方の耳は熱を帯びて真っ赤に腫れ上がり、自分はそれを隠す様に、手のひらで髪を触るフリをした。
少しの間、顔全体の熱が治まるまで下を向いて無言で真っ白な机を見ていた。
なんの反応もしない君が気になり、ゆっくりと顔を見あげてみた。
すると君は目を閉じて、少し嬉しそうにしていた。
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