明日も君と、手を繋いで歩きたい
「ねぇ、春フェス」
「春フェス?」
次の日に学校で君がまた話しかけてきた。
「ボカロの春フェス!見るでしょ?」
「ああ…うん」
「一緒に見ようよ」
ボカロの春フェスは毎年4月にやるライブイベントだ。
インターネットチケットを購入すれば、スマホで見れる。有名なプロデューサー達の新曲が聞けるお祭りだった。
「一緒に見るって……どうやって?」
「ほら!見てよこれ」
君はそう言うと、スマホを取り出し突然顔を近付けて来た。
君がスマホの画面を見せるためにした事だったが、頬が触れる程の距離だった為、全く内容が入って来なかった。
「各地、プレミアムビュー会場?」
「そう」
「隣の市にあるカフェの2階が会場になってる」
「えー!」
お互い顔を見合わせお互いに指をさした。
「グッズとかも販売するみたい」
「マストだね!」
「じゃあ決まり!」
二週間後の春フェス。
今日この瞬間からワクワクしていた。
君と二人でお出かけなんて。
これはお母さんにお小遣いの交渉しないと。
お互いに好きな事が一緒ってなんだか嬉しい。
頭の中からは昨日の夕方の事なんて吹っ飛んでいた。