教授の恋愛
ゼミは一番辛い。

他の教室と違って狭いし、教卓と席が近い。

ゼミ教室だけ妙に学生と密接感が感じられるようにできている。


「先生ー!資料見つかりましたよ!」

「そ…そっか!よかったな!」


ゼミでの舞岡さんはいつも以上に俺に話しかけてくる。

屈託のない笑顔とあどけない笑い声で。

舞岡さんの無邪気さは、俺の母性本能をくすぐる。

俺は教授失格だな…。



いけないこととはわかっているが…セミナー中に舞岡さんの話を盗み聞きしようとしてしまう。

最近、舞岡さんもついにお喋り軍団に入団した。

不思議と俺が静かにしろと注意する回数が減り…舞岡さんをもっと知りたいという欲望から自然に耳をすましてしまうんだ…。
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