パティシエ総長さんとコミュ障女子
ドンッ……!!!
一人に体当たりをする。
よろけた彼女をさらに押して地面に倒し、私は彼女を飛び越えて3人と蓮の間に立ち塞がった。
「れ……蓮をっ…!わ、私の友達を……傷つけるな!!!」
意味がわからないくらい震えた大声が出た。
「凛っ……!」
後ろから蓮の泣き声が聞こえた。
許さない、蓮を傷つけたこいつらを許さない…!
でも、そんな心と相反して私の体はガタガタと震える。
「はぁ……?なんで宮川…?」
怒りと困惑が入り混じった2人と、私に突き倒されて痛みに顔を歪める1人の視線に晒されて、胃が痛くなる。
震える体を叱咤し、私は彼女らと戦えるように構えた。
「私を地面に倒すなんて…良い度胸しているじゃない…!」
立ち上がった1人が、私の頬目掛けて腕を振り上げる。
あぁ、ビンタか…。
その手を見て、突然、霧が晴れたように頭が冴えた。
今まで、何十回、何百回、何千回と殴られてきた。
今更……ビンタなんか、怖くないよ。
彼女のビンタは私の頬を叩かなかった。
彼女の右腕を掴み、その手を高く上げて締め上げる。
「い、痛い痛い痛いっ……!!」
彼女は顔を歪ませて身を捩る。
この子はおそらくこの3人のリーダー格だ。
複数で襲ってくる奴らは、リーダー格を負かせるのが1番良い。
「ちょ、ちょっと、あんた何やってるのよ…!」
残りの2人はオロオロと私を見るが、手を出してこない。