パティシエ総長さんとコミュ障女子
「凛、クラスのグループチャット見てみて…。」
蓮がそう言って、私にスマホを差し出す。
『原田蓮は障害者で犯罪者』
そんな見出しに、思わず眉を顰める。
あまりにも悪意がこもり過ぎている。
昼に言ったことだけじゃ足りなかったのだろうか…。
『原田蓮は、中学時代、あだ名が“銅像”であった。彼女は学校で全く喋らず、全く動かない。しかも、万引きをした前科がある。』
丁寧に写真付きで。
「何…これ。」
あれだけ言っても懲りなかったのか。なんとも人間として可哀想な出来の人だ。
呆れと怒りでなんとも言えない気持ちになる。
喉元過ぎれば暑さを忘れる、ってやつだろうか。
「違うの……凛、私、違うっ…」
「何が違うの?聞くから、話してみて。」
混乱して泣きじゃくり、情緒不安定な蓮を必死になだめながら話を促す。
添付されていた写真を開くと、そこには蓮の写真があった。
少し遠くの中学のセーラー服姿だ。
今の綺麗なポニーテールは無く、セミロングの髪を乱雑に下ろしている。
私が眉を顰めたのは、彼女の体に貼られた無数の紙を見たからだ。
「銅像」「私は動けません!w」「先生に歩くことも手伝ってもらわなくてはいけない甘えん坊です」「喋りません」
悪意のこもった文字の書かれた紙が蓮の全身に纏わりつき、まるでミノムシのようだった。
中には、「ブス」「バカ」と完全に関係のない悪口まで書かれているものもある。
「うわぁ……。」
明らかないじめだ。
気分が悪くなった。