パティシエ総長さんとコミュ障女子
「私、頑張って、本当に頑張ってイメチェンしたのに。私が場面緘黙を改善することにどれだけ苦労して、どれだけ心を折ったか知らないくせに…!まだ私を苦しめる…。」
「蓮!」
なよなよする蓮を押し戻し、目をしっかりと見つめる。
潤んだ大きな目が私を見つめている。
いつもの強くてシャキッとした蓮じゃない。
多分、この弱くて泣き虫でネガティブな彼女が本来の彼女なのだろう。
別にそんな彼女を責めようとは思わない。
「蓮が、私には計り知れない苦労をしていたことは察するよ。」
静かにそう告げる。
ただ、突き放したような声で告げた。
「でも、蓮は甘えている。」
蓮の瞳が見開かれる。
「え……、凛…?」
信じられない、というように蓮の瞳が揺れた。
私が全肯定してくれると信じていたのだろう。
相当ショックを受けたように固まった。
「障害者だから、しょうがない。そう考えているでしょ?」
「……っ…そん…な」
図星だったのか、蓮が動揺する。
ああ、良かった。心の底では分かっていたんだ。
蓮はやっぱり本当に良い子だよ…。
「蓮は今、ずっと自分を弁護するように話していたよ。」
蓮の目を見てしっかり伝える。
ここで蓮を肯定したところで何も状況は変わらない。私はよく知っていた。
「蓮は、原因がなんであろうと、犯罪を犯したんだよ。障害者だからって、犯罪をして許されるようなことはないんだよ。絶対に。」
蓮は唇を噛み、俯いた。
肩が震えている。