パティシエ総長さんとコミュ障女子
「気にすんなって〜!なんか困ったことあったら言ってね!あ、そういえば、凛ちゃんって呼んでも良い?」
原田さんの急な話の展開に戸惑う。
反射的に頷いていた。
「やったぁ!前から友達になりたかったんだよねぇ!」
あまりにも早い会話のペースに頭の中がぐるぐると回る。
と、友達??
いつの間に…?
私たちいつから友達認定になっていたの…?
「へへへ、凛ちゃん、今日一緒にご飯食べない?」
ぐ、グイグイくるなぁ…。
苦笑が浮かびそうになる表情を必死に抑えた。
「ちょっと、蓮…宮川さん困っているじゃない。」
その時、突然飛ぶ、大きな声。
「げ、ゆっこ……。」
原田さんがは「ゆっこ」と呼ぶ、小太りな彼女の名前は、柳田裕子。
彼女は原田さんと同様、社交的で温厚な性格だが、原田さんよりもおっとりとしている。
私は柳田さんにペコンと頭を下げた。
「宮川さん、気にすることないからね。蓮、人との距離感の取り方が絶望的に下手くそだから。本人に悪気はないんだよ」
そう言って頭を掻く柳田さん。
「あ、私のことは好きなように呼んでくれて構わないよ。それこそ『ゆっこ』とか。」
さ、さすが原田さんに引けを取らないコミュ力の高さ。
「な、私が凛ちゃんと話していたのに。」
「あれは会話じゃないよ。蓮が一方的にベラベラ喋っているだけじゃん」
「そ、そんな。私が変な人みたいじゃん!」
「蓮は変な人だよ!」