パティシエ総長さんとコミュ障女子


「あっ、俺クラスチャット入ってねーわ。」


突然思い出したように言う瑠衣。


「え。」


困惑した。

どういう…こと。


「俺、あんまりクラスに興味なくってさ。完全に忘れてた。」


そう言って笑う瑠衣。

脚から力が抜けた。


「早く言ってよぉ…」


一瞬間をおいてからとんでもない羞恥心にかられた。

私、勝手に解釈して、凛に泣きついたってこと!?

え、私が流した涙の意味ってなんなの?

しゃがみ込んで顔を抑える。

顔が信じられないほど火照り、全身から汗が吹き出す。


「わぁぁぁあああ!!」


偶然目の前にあった電柱につかみかかり、頭を振り上げた。

そして、勢いのままに頭を電柱に向かって振り下ろした。


「えぇぇ!?おい、なに血迷ってんだよ!」


突如体を後ろに引っ張られ、私の頭は空を切った。

脳が揺れるような感覚がして、目の前が歪んだ。


「馬鹿か!!何やってんだ!」


肩を揺すられてさーっと頭が冷えた。


「え…?私、何して…?」

「アホか!!電柱に頭突きしようとしたんだろうが!」


ポカーンとする私と、必死の形相で私の肩を掴む瑠衣。


「あぁ、ちょっと恥ずかしくて」

「お前死ぬところだったんだぞ!?自覚あんのか?」


あれ、みんな恥ずかしさに耐えられなくなったら頭突きの一度や二度したことあるんじゃないのかな。

確かに電柱に向かってやろうとしたのは危なかったけど…。

くらりと眩暈がして、瑠衣にもたれかかる。


「う〜ん、気持ち悪い……」

「蓮が頭をぶん回すからだろうが!この単細胞!アホ!酔っ払い!」


随分とキレのある悪口3連発だなぁ…
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